商標登録 Q&A
No. | Questions | Answers |
1 | 商標登録の対象になるのは何ですか? | B to BでもB to Cでも、購買者が商品・サービス名や会社名等のマークを頼りに購入や取引の意思を決定することが、ごく普通に行われています。そのような商品やサービスに、便利、おいしい、よく効く、安心等の定評があれば、それらのマークは市場で蓄積された信用(言い換えれば、ブランド)を象徴するものとして、登録されることにより法的に保護されます。また、これからのビジネス展開によって信用の蓄積をめざすマークであっても、要件を満たせば登録されます(注1)。 |
2 | 商標登録にはどういう効果がありますか? | 他人が同じような商品やサービスについて同じようなマークを使用するのを排除することができます。購買者から見れば、紛らわしいマークのために意図しない買い物をさせられる危険を減らすことができます。 |
3 | 特許や意匠登録との違いは何ですか? | 特許のもとになる発明も意匠も創作行為の産物であり、特許や意匠登録の制度は創作保護を目的とする制度です。これに対して、商標は市場における商品やサービスの識別を助けて取引秩序を守ることを目的とする制度です(注2)。そのため、出願前に公知だという理由で商標登録出願が拒絶されることはありません。また、特許や意匠登録は存続期間を経過すれば権利が消滅しますが、商標登録は10年ごとに更新を繰り返す限り維持されます。そのかわり、登録しても使っていなければ他人の審判請求によって取り消されるような制度もあります。 |
4 | 商標登録出願で注意すべきことは何ですか? | 商標登録は、マークとそれを付す商品又はサービスの指定の組み合わせで成り立ちます。出願のときに、対象とする商品又はサービスを全45区分の中から指定しなければなりません。区分された商品又はサービスの指定は専門的なルールに従うため、出願人はそのマークを使って行うビジネスの内容をできるだけ具体的に弁理士に伝え、ルールへのあてはめを任せる方が確実です。 |
5 | 出願手続をすれば商標登録されますか? | 特許や意匠と同様に、出願しただけでは登録されません(「審査請求」は不要)。似たような商品・サービスに他人の商標が先に登録されていないか等の条件も必要ですが、「ありふれた、当たり前の、だれでも考えるようなマークではない」ことも重要です。例えば、商品「電子レンジ」について商標「レンジ」を登録することはできません(注3)。 |
6 | 商標登録を受けるのにどのくらいの費用がかかりますか? | 印紙代も代理人(弁理士)費用も区分の数に依存するため、主に1区分のケースを説明します。印紙代は出願時に12,000円(区分の数が1増えるごとに8,600円追加)、登録時に28,200円(×区分の数、10年分)です。10年ごとの更新の都度、38,800円(×区分の数)の更新登録料が必要です(10年を前半と後半の5年ずつに分けてそれぞれ6割程度を納めてもよい。)。 代理人(弁理士)費用は各事務所の料金設定次第ですが、大雑把な目安では出願時に6-8万円、登録時の成功謝金を請求されればさらに4-6万円、中間処理の必要があればさらに数万円かかることもあるようです。印紙代と合わせると、出願から登録まで安ければ10数万円、高ければ20万円程度というところでしょうか(区分の数に従って増額となるのがふつう)(注4)。 |
7 | そのほか費用について… | 費用が一種の投資である点は、特許や意匠登録と同じです。ただし商標登録の場合は、社名やロングセラーの商品名のように息の長いものもあって、短期的な投資効率だけでは測れない面にも注意が必要でしょう。 |
8 | 登録までの期間はどのくらいですか? | 出願から最初の審査結果通知までの期間は、おおむね4-5か月です(拒絶理由が見つからなければ、半年程度で登録を受けられます)。 |
9 | ブランド形成と商標登録の関係をどう考えればよいですか? | 商標登録は、形成された(又はこれから形成することをめざす)ブランドを法律的に保護するためのプロセスです。これに対してブランド形成は、企業(又はマークを付す商品・サービス)が顧客と接するすべての局面での営為の積み上げです。それぞれのプロセスに求められるリソースもスキルも異なりますが、優れたブランドを築いて守り発展させるという経営の明確な意思を両方のプロセスに徹底することが重要に思われます。 |