「拒絶理由通知」を受け取ったら

 「特許権は特許出願をすれば得られるもの」だと誤解していませんか?
 実は、特許庁で行われる審査において特許の要件を満たしていないと判断されると、特許を受けることはできません。2015年のデータによれば、審査請求件数24万強に対して特許登録件数は19万弱ですから、それらの単純な比較では審査請求された出願5件のうち1件強が拒絶されたことになります。

よくある拒絶理由

 特許法には複数の拒絶理由が定められており、そのいずれかに該当すると審査官が判断した出願については拒絶理由が通知されます。
 一般的に多い拒絶理由は「新規性がない」、「進歩性がない」、「記載が明確でない」等です。「新規性がない」のは、ほとんどが「他の公知文献にすでに書かれたことと同じ」ことを理由にされます。「進歩性がない」のは、ほとんどが「まったく同じことを書いた公知文献は見つからないとしても、公知文献Aと公知文献B(又はさらにC、D、…)に書かれたことを組み合わせれば容易である」ことを理由にされます。進歩性の拒絶理由は最も多用され、当事務所の経験上は拒絶理由の8割を占める感があります。引用文献との対比をふまえた請求項の補正を必要とすることが多いため、専門知識の豊富な弁理士(ふつうは出願を依頼した弁理士)に相談することをおすすめします(というか、相談しないで応答することは事実上無理と思われます)。

拒絶理由通知を受けただけで諦めるのは早い!

 拒絶理由通知が届いただけでがっかりするのは早すぎます。なぜなら拒絶理由通知が来るのは当たり前であって、少なくとも「人並みのまともな出願」と認められたというだけのことです。出願人にとっては拒絶理由通知が実体審査のスタートラインであって、そこからが特許権利化の正念場です。

 拒絶理由通知を受けたときに出願人が注意すべきことは、(1)当たり前のプロセスなのだからがっかりしないこと、(2)審査官の主張の要点をよく理解して、代理人弁理士と意思の疎通を確実にすること、(3)応答については代理人任せにせず、補正によって権利範囲を多少狭めるにしても権利化したい範囲が保たれているかを押さえること、です。(2)と(3)をおろそかにすると、補正して特許されても狭すぎて意味のない権利になってしまうことがあります。弊事務所は、豊富な実務経験に基づく技術的バックグラウンドを最大限に活用して、出願人がとりたい権利範囲を保ちながら適切に拒絶理由に応答いたします。

東京都新宿にある弊所では、知的財産保護のための特許申請・商標権登録・意匠権登録など権利化関連の代理業務を行っております。
弁理士・技術士の専門的な知識と豊富な経験を活かしながら、全力でお手伝いさせて頂きますので、特許出願に関することでお悩みの方は弊所に是非ご相談下さい。