公的な助成金は返済の必要がなくありがたいおカネですが、いろいろ条件があることを知ったうえで活用しましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

事業コストの100%を助成してもらえるわけではありません。資金計画を綿密に立てましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(注1)例えばものづくり補助金の場合は、「認定支援機関」という後見役を立てる必要があり、地銀や信用金庫のような金融機関がその有資格者です。そのような金融機関からつなぎ融資を受ける方法が考えられます。

助成金獲得のお手伝い

 中小・ベンチャー企業の立ち上げや事業展開の支援を目的として、いろいろな公的な助成金・補助金の制度が設けられています。これらの助成金・補助金は、受け取ってしまえば返す必要がないという企業にとっては大変ありがたいおカネです。一方、助成金の出所をさかのぼれば税金であってその使い道は公平、公正、厳格に定めなければならないという大原則があるため、もらい方も使い方もさまざまなルールで縛られます。
 そのようなルールを守るために、例えば「助成金対象事業に従事した複数の社員の期間中の作業票を管理、収集および集計するために、事務処理担当者1名を専従させなければならない」というようなコストが発生することがあります。つまり、利息はもとより元本さえ返さないでよいかわりに、事務処理負担という資金調達コストが発生します。

 各種の助成金・補助金におおむね共通する注意点には、以下のようなものがあります(細かい条件は制度により異なるので、それぞれ確認する必要があります。)。

 No.     項    目     要  点
 1 応募の期間 長くても2か月程度のことが多いようです。各年度に募集が繰り返されているものは、前年度や前々年度の募集要項を調べて事前に準備しておくことが望まれます。
 2 応募適格 中小企業やベンチャー企業を対象とする助成金では、企業規模等の条件があります。自社が応募の条件を満たすことを確かめておく必要があります。
 3 助成対象 各種の助成金の制度は、それぞれ目的に応じた助成対象(研究開発、設備投資、人員の新規雇用、外国特許出願、模倣品対策等)を定めています。どの助成金の制度が自社の事業計画にマッチするか、慎重に検討する必要があります。
 4  助成金額、比率  助成金により対象事業の費用の100%をカバーすることは、ふつうは望めません。多くの制度では助成金の絶対額と助成の比率にそれぞれ上限を定めています。よく知られた「ものづくり補助金」(2015年度補正予算、一般型)の場合、金額の上限は1,000万円で比率は最大2/3です。仮に上限いっぱいの補助を受ける場合、500万円の自己資金(借金でもよいが)を用意する必要があります。
 5 交付を受けられるのは事業の終了後 応募の結果採用されても、すぐに助成金が交付されるわけではありません。事業を行って所期の成果をあげ、費用の支出を済ませてエビデンス(例えば設備や備品の購入を証明する領収証、労働時間を証明する作業票等)を整理し、助成金の交付元(国や自治体又はそれらの事務代行機関)の監査を受けて承認されて初めて助成金が交付されます。上記の例でいえば、着手時には500万円ではなく1,500万円を用意しなければなりません(例えばつなぎ融資を利用する。)(注1)。
 6 事務処理の負担 応募書類には、事業計画、研究開発計画、資金計画等を具体的に記載する必要があります。しっかりした計画を立てていなければ、説得力のある応募書類を作ることはできません。また、対象事業の進行中又は終了後の監査に耐えるよう、計画に従った実行を管理してエビデンスをそろえておくことが欠かせません。これらの事務処理負担のコストを、予め見込んでおく必要があります。

 当事務所は、技術や知財に関わる事業を対象とする各種の助成金・補助金への応募と事務処理負担軽減のお手伝いをいたします。「ものづくり補助金」については、一般社団法人技術知財経営支援センターの取組みの一環としてご相談を承っています。それ以外の助成金・補助金への応募についても、ご相談をお待ちしております。