毎月2回、中国語の勉強会を受講しています。勉強会では、めいめいの受講者が関心を持った話題を中国語に書いてネイティブの先生から添削を受け、中国語で そのテーマについて会話をします。ここでは、その中で取り上げた話題を日本語と中国語(添削済み)で紹介し、中国語の記述や話題のポイントについても付け足します。

 第1回目の今回は、(関東では過ぎて行った桜の季節を懐かしみつつ)春にちなんだ日本の唱歌と中国の詩についての話題を取り上げます。

春を詠う日本の唱歌と唐詩
 春を題材にした日本の唱歌のうち、滝廉太郎作曲の 「花」は特に有名で、多くの人に愛されている。この歌は最初の「春のうららの隅田川」という歌詞で始まり、「げに一刻も千金の眺めを何に例うべき」という歌詞で終わる。この最後の歌詞は、北宋時代の一首の唐詩を引用したものである。それは、蘇軾が次のような意味を謳った「春夜」と題する七言絶句である。

春の夜は一時でも千金に値するほどすばらしい。
花は馥郁と香り、月はおぼろにかすむ。
楼閣に響いていた歌声や管弦が静まった後、
中庭にブランコがぽつり、 夜が静かにふけてゆく 。

  この詩では、春の宵を華やかに彩る花と月を詠む一方で、歌舞管弦が終わって静まった楼閣と中庭のブランコを詠むことによって、夜更けと共に深まる静寂を対照的に表している。この対照によって、春の楽しい気分と背中合わせになった一種の物憂さを読者に感じさせる。

   咏春的日本歌曲和唐诗
  在以春天为题材的日本歌曲之中,泷廉太郎作曲的一支题为《花》的歌曲特别有名,受很多人喜爱。这支歌曲从第一段的“春天明媚的隅田川”的歌词开始后,到最后一段的“把一刻也值千金的景致应该比喻什么?”的歌词做为结束语。这最后的歌词引用了一首北宋时代的诗。这首诗是苏轼作的题为《春夜》的七言绝句,在这儿介绍如下。

春夜 苏轼
春宵一刻值千金
花有清香月有阴
歌管楼台声细细
秋千院落夜深深

 这首诗咏唱了美丽地装饰了的春宵的花和月亮(春宵花月),同时也咏唱了歌舞管弦结束以后静下来的楼台和立在院子里的秋千。就这样相反地也表现了月夜加深的沉寂。这个对照可以使读者感觉与春天高兴的气氛为伴的一种怠惰忧郁的心情。

(補足)
 日本の有名な唱歌「花」の歌詞に引用された北宋の詩人蘇軾の「春夜」は、 花や月にいろどられた歌舞管弦が終わった後、静かに更けていく春の夜を対照的に描いています。中文の最後の文は、この対照(这个对照)が読者をして(使读者)、春の楽しい気分(春天高兴的气氛)と背中合わせの物憂さ(怠惰忧郁的心情)を感じさせることを表してみたものです。「何か」が「誰か」を何々させるというときのいわゆる使役表現に、「使」を用いました。